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“体を守る栄養素” スルフォラファンの歴史

ブロッコリーなどのアブラナ科野菜に含まれる成分「スルフォラファン」。

今では抗酸化・解毒などさまざまな作用を持つことがわかっていますが、その健康効果が明らかになったのはいつ頃からなのでしょうか?
その歴史についてご紹介します。


【スルフォラファンとは?】
詳しくはこちらの記事をご覧ください。




スルフォラファン研究の父、ポール・タラレー博士

スルフォラファンの健康効果が世界で初めて注目されたのは、1980年代のアメリカ。
アメリカ医学界の最高峰ジョンズ・ホプキンス大学医学部教授のポール・タラレー博士の研究からはじまりました。

ポール・タラレー博士

1974年、タラレー博士は、ある食品添加物が身体の解毒に関わる酵素の産生を促していることを発見しました。
その酵素は発がん物質を体外に排出する作用があることも明らかになっていたため、博士は「このような酵素を生み出す物質を摂取することで、がんを予防することができるのではないか」という仮説を立てました。

さらに、“野菜や果物をたくさん食べる人はがんの発生リスクが低い”という研究をヒントに、「がん予防に有用な成分が野菜や果物に含まれているのではないか」と考え、あらゆる野菜と果物の調査を行います。

その結果、キャベツやカリフラワーなどのアブラナ科野菜、特にブロッコリーに含まれる「スルフォラファン」に高い効果が期待できることを突き止め、その働きのメカニズムも解明しました。


スルフォラファンの働きのメカニズム

発がん物質によるがん発生と予防のメカニズム
出典:タラレー博士作成資料をもとに作成

食品などから体内に取り込まれた「発がん前駆物質」(発がん物質を生成する前の段階の物質)の多くは、すぐにがんを引き起こすわけではありません。
消化酵素の働きによって、その一部が反応性の高い「発がん物質」に変化し、細胞内のDNAを傷つけることで、がん細胞を生み出してしまいます。

がんの発生を防ぐためには、この発がん物質を素早く無毒化して体の外に排出することが必要で、「解毒酵素」が重要なカギを握っているわけですが、実は体内でスルフォラファンがこの酵素の産生を促すことがわかったのです。

(後の研究で、スルフォラファンは発がん物質を解毒・排出するだけでなく、酸化ストレスの抑制やがん遺伝子のコントロールを通じて、がん抑制に関係していることも明らかになりました。そのことついては、今後の記事で紹介予定です。)


1997年、タラレー博士はこれらの研究結果を学会で発表し、ブロッコリーにがんの予防効果があるというニュースは、『ニューヨークタイムズ』紙のトップを飾るなど全米で大きな話題になりました。

その後、スルフォラファンに関する研究は各国で行われ、現在も国内外でさまざまな健康効果に関する研究が続けられています。




今回は、スルフォラファンの健康効果が明らかになった歴史についてご紹介しました。
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