体の「酸化」とは？知っておくべき大切なコト
食の健康を考える上で欠かせないキーワードになっているのが、「酸化」と「抗酸化」。
みなさんは正しく理解できていますか？
酸化は私たちの生命活動の中で自然と起こる事象で、無意識のうちに進行してしまうことも。
しかもそのメカニズムや影響は複雑で・・・。
そこでオススメしたいのが、難しい話をすべて理解して特別な対策法を講じるのではなく、大事なポイントを上手に押さえながら、食卓で無理なく実践していくこと。
そうです、抗酸化は難しくない！
そんな想いを込めて、多くのみなさんに理解いただけるよう、基本知識をわかりやすく解説していきたいと思います。
体の酸化とは？〜体の細胞が酸化するしくみ
私たちヒトは、呼吸によって“酸素”を取り入れて、エネルギーを燃やすことで生きています。
この体内に取り込まれた酸素が他の分子と結びつくことを、「酸化」と言います。
酸化という化学反応がどのような変化をもたらすかについては、身の回りの事例で考えてみるとわかりやすいでしょう。
例えば、クギがさびる、切ったリンゴが茶色くなる、輪ゴムを置いておくとボロボロになるなどです。
それと同様に、酸化が体内で起こると、細胞の本来の働きができなくなります。
しかし酸化はさまざまなシーンで起こっており、私たちが生命活動をする中で避けて通れないと言っても過言ではありません。
さらに、健康面から酸化を理解する上で真剣に考えなければならないのが、「活性酸素」という酸化力が非常に強い酸素について。
これはヒトが吸い込んだ酸素のうち、エネルギー産生に使われることなく体内に残ってしまう２～３％にあたる酸素由来の物質で、「フリーラジカル」と呼ばれる不安定な存在であるために、体内のさまざまなところで悪さをしてしまうことがわかっています。
もう少し深刻に言うならば、正常に働いていた遺伝子や細胞膜を傷つけることで、正常な細胞が作られなくなったり、細胞がもろくなったりして、老化や病気を引き起こしてしまうのです。
体が酸化するとどうなるのか？
細胞がさびついてしまう原因の一つである活性酸素は、普段の呼吸によって発生しますが、ストレスや喫煙、紫外線、排ガス、過度な運動などによってさらに追い打ちをかけてしまいます。
この活性酸素が悪さをする例をいくつかご紹介していくことにしましょう。
肌のシミ・シワ・たるみ
紫外線を浴びて日焼けをすると、肌を構成するタンパク質が酸化する。そのダメージが蓄積して肌トラブルを引き起こす。また肌の中の皮脂やコラーゲン、遺伝子などのさまざまな物質が酸化されることで表皮細胞に障害が起こり、くすみの原因に。シミ、シワ、たるみなどの肌老化も促してしまう。
がん
活性酸素が細胞の遺伝子を傷つけることで、正常な細胞が異なる働きをする細胞に変異する。その異常な細胞の分裂が止まらず、際限なく増殖して悪性の腫瘍を形成することをがんという。がん発生についての原因詳細は解明されていないが、活性酸素が増大することでがんを引き起こす遺伝子の活性化をもたらすことがわかっている。
糖尿病の合併症
糖尿病により血管内の糖が急激に増えると、血管内に悪さをする活性酸素が発生する。発生した活性酸素が血管を破壊し、神経や腎臓、目などに障害を与えることに。これにより神経障害、腎症、網膜症を引き起こす。糖尿病による失明や足切断はこのメカニズムが関係している。
脂質異常症、動脈硬化
脂質異常症とは、血液中に含まれるLDLコレステロール（悪玉コレステロール）や中性脂肪などの脂質が基準値よりも高い状態のこと。LDLコレステロールが酸化され酸化LDLになると、血管を傷付け、血管壁にくっつく。その結果、血管内が狭くなり、血液が流れにくくなった状態が動脈硬化。
酸化は食事で食い止められる
ここまででわかったのは、体の酸化は老化を促進するだけでなく、がん、糖尿病、脂質異常症、動脈硬化などの疾患原因になるということ。
現代社会に生きていると、紫外線、疲労、ストレス、大気汚染などから完璧に守ることは難しいものの、活性酸素の発生防止や除去に役立つ対策は可能であることがわかってきました。
それは、“抗酸化作用”を持つ食品を毎日の食事に取り入れるということ。
一部の食品に含まれる抗酸化成分を食品から適切に取り入れることで、老化や病気の遅延や予防ができるということなのです。
近年さまざまな抗酸化成分が注目され、その抗酸化力や働きに関心が集まっています。
具体的には、βカロテン、ビタミンＣやＥ、そしてファイトケミカルと呼ばれる野菜や果物の香り、色素、アクの成分など。
どのような食品に多く含まれているのか、そしてこれらをどのようにして摂取するのが効果的なのかについては、次の回で紹介していくことにしましょう。
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