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体の酸化を防ぐために何を食べる? 抗酸化成分を選ぶときの重要なポイント

老化や病気を引き起こす大きな原因と言われているのが、「活性酸素」
私たちの体に悪さをする酸素であり、普段の呼吸によって発生し、ストレスや喫煙、紫外線、排ガス、過度な運動などによってさらに追い打ちをかけてしまうことがわかっています。

しかしながらこの悪い話にくよくよするだけではなく、活性酸素への対策として、発生防止や除去に役立つ“抗酸化作用”を持つ食品に注目が集まっているのです。

そこで今回は、食品に含まれる抗酸化成分について整理をしていきたいと思います。
さらに、それらの食品を選ぶ際に重要となる視点やポイントについて、わかりやすくご紹介していくことにしましょう。



抗酸化作用を持つ食材を知ろう

それでははじめに、抗酸化作用を持つ成分にはどのようなものがあるか整理していきましょう。

まず、抗酸化成分には大きく分けて「ビタミン類」「ファイトケミカル」の2つのグループがあります。
そしてその中でもさらに細かい種類に分かれていることを知り、それらを代表的な食品例と合わせて知っておくと良いでしょう。


【ビタミン類】

私たちの体内にある抗酸化システムに欠かせないのが、ビタミン類です。

ビタミンは車で言えばエンジンオイル的な存在。
エネルギーを産生する糖質・脂質・タンパク質の代謝を円滑に進める潤滑油としての役割があり、なくなっても体が全く動かなくなるわけではありませんが、疲れが取れにくかったり、ストレスに弱くなったり、その状態が続くことで深刻な欠乏症が起こります。

① ビタミンA
にんじん、かぼちゃ、ほうれん草、レバー、うなぎ、卵黄

② ビタミンC
いちご、かんきつ類、パプリカ、ブロッコリー、とうがらし、イモ類

③ ビタミンE
ひまわり油、綿実油、アボカド、アーモンド、かぼちゃ、モロヘイヤ、イクラ、たらこ

ビタミンEはビタミン類の中で最も強力な抗酸化成分。脂溶性なので、脂質の多い細胞壁から細胞内側に溶け込んで抗酸化力を発揮します。
ビタミンCは水溶性であるため、細胞の外側や血液などの液体部分で活躍します。


【ファイトケミカル】

ファイトケミカル(Phytochemical)とは、ファイト=植物ケミカル=化学成分 の意味を持つ言葉で、野菜や果物などの植物に含まれている色素、アク、渋味、苦味の成分。

植物は、自ら移動ができません。
そこで紫外線や動物、害虫などから身を守るための“武器”として備えたものがファイトケミカルで、これらは私たちの体に取り込まれても防御機能を発揮してくれるのです。

炭水化物、たんぱく質、脂質の3大栄養素やビタミン、ミネラル、食物繊維に続く「第7の栄養素」として注目されています。

主なファイトケミカルは次の通りです。

ポリフェノール:植物に含まれている色素、アク、渋味、苦味の成分
・アントシアニン
ブルーベリー、イチゴ、ブドウ、紫キャベツ、赤じそ
・カカオポリフェノール
ココア、チョコレート
・イソフラボン
大豆、大豆製品(豆腐、納豆、きなこ、おから、豆乳など)
・カテキン
紅茶、緑茶、ウーロン茶
・クロロゲン酸
コーヒー、ごぼう、ナス、リンゴ

カロテノイド:動植物に含まれる黄、オレンジ、赤などの色素成分
・β‐カロテン
ニンジン、ほうれん草、カボチャなどの緑黄色野菜
・リコピン
トマト、スイカ、カキ、アンズ
・アスタキサンチン
鮭、エビ、カニ、イクラ
・クリプトキサンチン
みかんなどの柑橘類

イオウ化合物:にんにくやネギなどが持つ独特の香り成分
・アリシン
にんにく、ネギ、玉ねぎ、ニラ、らっきょう、あさつき
・イソチオシアネート
きゃべつ、ブロッコリー、ブロッコリースプラウト、大根、ケール、わさび


大注目の抗酸化成分「スルフォラファン」とは?

たくさんある抗酸化成分の中で、ここから丁寧にご紹介したいのが「スルフォラファン」です。

アブラナ科野菜、とくにブロッコリースプラウトに多く含まれるファイトケミカルで、イオウ化合物のイソチオシアネートの一種
イオウ(sulfur(スルファ))を含むのでスルフォラファンと名付けられました。

スルフォラファンには抗酸化作用以外にも、炎症の原因を押さえる抗炎症作用、糖化物質(身体の焦げと言われる)を減らす抗糖化作用を持つことなども報告されており、テレビの情報番組などでも注目度が高まっているのです。


スルフォラファンが持つ強みとは?他の抗酸化成分との違い

スルフォラファンを特別に紹介するのには理由があります。
それは、スルフォラファンが他の抗酸化成分とは違う、特別な働きをするからなのです。

アントシアニン、カテキン、リコピンなどの抗酸化成分は、それ自体が活性酸素から酸素を奪い、自ら酸化することで活性酸素のダメージを減らそうとします。
つまり、体内で絶えず発生する活性酸素を減らすには、これらの抗酸化成分を常に摂取し続けなければならず、1日に何回も補給する必要があります

それに対して、スルフォラファンは体内の活性酸素除去に関わる“抗酸化酵素”を生成、活性化することで抗酸化に貢献しているのです。

スルフォラファンを摂取した前後で血液中の抗酸化酵素の活性度を測定した実験では、摂取後に大きく上昇するという結果が報告されています。

スルフォラファン摂取による抗酸化酵素活性の変化

【概要】
・被験者:24~60 歳の健康な男女 21人
・摂取方法:ブロッコリースプラウトエキス粉末を単回摂取。スルフォラファングルコシノレート(スルフォラファンの前駆体)含有量 30mg/60mg
・評価方法:摂取前および摂取24時間後に採血し、血中の抗酸化酵素(GST)の活性を測定
・試験結果:30mg、60mg ともに、摂取後のGST活性が有意に上昇した

(出典)Ushida et al., Food and Nutrition Sciences, 2015, 6, 1603-1612 をもとに作成


抗酸化成分は、“持続性”がカギ

スルフォラファンにはもう一つの大きな強みがあります。
それは、活性化した抗酸化酵素が3日以上も抗酸化作用を発揮することで、結果として抗酸化力が長く持続するという点です。

抗酸化成分として有名なビタミンCと比較をしてみましょう。

ビタミンCはレモンやオレンジなどの柑橘類やサプリメントなどで摂取することが可能ですが、どんなに多く摂取しても4時間程度で大部分が消費され、多く摂り過ぎた分は尿として排出されてしまいます。

一方、スルフォラファン自体は摂取後に短時間で消失するものの、活性化された抗酸化酵素の作用は3日以上持続し、一度取り入れれば効果が長続きするのです。

体内におけるスルフォラファンとビタミンCの抗酸化作用持続時間
※最高値を100とする
(出典)米国ジョンズ・ホプキンス大学のポール・タラレー博士の研究データより


つまり、他の抗酸化成分は自ら敵と戦うのに対して、スルフォラファンはパワーと持続力のあるスーパーマンを連れてきて長く戦わせることができるということ。
抗酸化力を考える上で効率のよい成分であることは間違いありません。

抗酸化は成分自体の抗酸化力だけでなく、“持続性”という視点を持って慎重に選んでみてはいかがでしょうか?



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